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情景記述の文体練習です。
色々な場面を文章で描写することに挑戦してみようと思い立ちました。 とても基礎的な訓練になるかと思ってます。よかったら、感想を聞かせてください。
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2001/08/26

ん? うん、見たよ。 (高さ1,100mm程の明るいラワンのカウンター越しに、薄汚れた素地の木天板のテーブルを見やる。)

そこに座っテタ。 (右腕を突き出して、顎を上げる。視線は下向き。踵を上げて伸び上がる。)
そこそこ。 (トンと踵を着く。手も下げる。)
下イってぇ、郵便出しテ帰ってきたら、 、 、 (そこに方帆が居るかのように見つめる。)
ふぅっって、こっち向いてぇ、 (右掌を広げ、中指と薬指で弧を描いて手を回転させる。)
ちょっとびっくりしテタみたい。 (手を下ろして、指先まで使って両腕を外に広げる格好をする。力は指先だけ。)

ん? うぅうん、 (僅かに顎が先行する柔らかいかぶりの振り方。)
別にヘンなことは無かったよ。 (顎を引いて、両方の掌を膝上で伸ばす。)
ひとりでナンか書いてた。 (微妙なすまし顔で言葉を突き出す。)
そこにねぇ、 (ゆっくりと頷くように頭でリズムを取る。ふわりとした動き。)
A4の紙おいてぇ、私が入っテクまで書いてたみたい。 (少し顔が緩む。)
私がドア開けたら、 (左後方を一瞥してから、垂れたままの左腕を後ろに回して扉の所在を示す。)
あわててこっちみてェ。 (にま。)
こんにちはって言ったら (肩から右へ15°上体をひねる。頭の動きも伴って。)
こんにちはって言ってたけど、 (上体を戻し終わる。大きくリズムを取る話し方。)
書いてたの (もう一度にまと笑う。今度の表情は一瞬に噴出。)
ナンか隠してるみたいだった。 (体を右に向け直す。もうカウンターの向うは気にしていない。)

別に。 (すっと口をすぼめて表情を冷ます。)
ホカはナンにもないよ。 (右足を引いて後ろへやり、交差させたかと思うと、左横へ体が揺れる。)

これ? (澱みなく、でも緩やかに右腕を上げて紙に手をやりながら、今度は右前方に揺れる。)
なになにィ? (にまにま。半歩下がって。)
エ、ちょっと読んでイイ? (目だけを上げて確認の一瞥をくれ、それから読む。)



ふー−ん。 (四回小さく頷きながら顔は上げてゆく。下目使いになって、紙を見たまま。口を尖らせ気味に。)

へェ。 (笑顔が出てから、ゆっくりと目線を上げてゆく。)
ナンか面白い。 (言い終わって一旦、下をぼんやりと見直す。その後、目線が上がり切るまでは笑顔が消えない。)

(思いついたように再び笑顔が浮かぶ。)
こんど聞いてみヨ。「あの時、これ書いてたんですか?」っテ。 (左へ密やかに二歩動き、カウンターに寄りかかる。暫くは話して居たい雰囲気。)
はるか (ト書付)

2001/08/25

気が付いてみると、大型の台風が去った後では、 また二つ腕を伸ばして葉を広げつつあるパキラの小さな茂みにも、熱気が消えている。 二週前には感じられた葉の笠の、じっと耐える気概もどこへやら。 それはきっと夏の日射云云の話ではなく、 暦が先に、喪失感を私に植え付けた所為なのは知れたこと。

近くにある何十年来といった風情の市場を抜けようかという辺りで、 たまたま目に付いた花屋で買った覚えのあるパキラ。 よく晴れた初夏の日に、確か六百円の値がついていた。 物臭な私は、少々手入れを怠っても簡単には枯れはしないこと、 また、鉢の下から根が這い出すくらいになったら植え替えてやるべきことを 花屋から聞いて、それぐらいはと、かえって意気込んだ。 そんなことは今でも覚えているんだと、 半ば自分で意地っ張りを呆れている。

最初から幹が一方へ傾いていたが、 一年以上もの間、 北北東の一面からしか日が差さない環境に置いたので、 樹形は偏るばかりになってしまった。 冬が始まった時期に凍てついた所為で、 去年からある葉の先はかなりやられて薄茶色に枯れている。 すぐ上に春先に生えた葉が、ばっさりと被さっているのをよく見ると、 その時期には幹があまり伸びずにあったのか、 扇のように開く葉を突き出した枝枝の、付け根のところで込み合っている様子が目に留まり、 それが不恰好に思えた。 この夏の一節は太く力強い姿で、 その先に突き上がっているのだから正直なものだ。 お陰で、元気にしっかり開かれた葉は青々として形も整っているが、 下はしな垂れて色も冴えず。 三角フラスコを逆さにした形にもならず、分かれ目が出来ている。

旅行を機会に持ち込んで以来、無責任にも大方の世話を人任せにしているが、 殺伐とした室内唯一の緑は、それなりに注目を浴びていて、 時々、新しい葉をつける折に話題に上る。 その内に私は手を引くのが分かっているのに、 こいつは残ってくれることと期待している。

湊 方帆

2001/08/08

昨日、実は親知らずを抜いたから、その話をしてみます。 右下のやつが横向いて生えてて、だいぶ前から気になってたんだけど、ついにやりました。 お陰で今も血が、こう、味がして、生臭い状態。

いやでもさぁ、大学の歯学部の診療所(?)って面白いところだよね。 昨日は自分が台の上に乗る日だったから気が回らなかったんだけど、 今日、診察台がずらっと並んだ部屋に入ったら、 妙な雰囲気があって、何か気に入った。

30台ぐらい診察する診察台(?)があったと思うんだけど、 やたら細長い部屋だったから、ほとんどそれくらいだったと思う。 それで、いかにも慣れてませんっていう感じの若い歯医者さんがあっちこっちにいるのよ、当然。 やっぱりおりこうさんタイプの人が多くてね。 中にはさ、後に倒れて台の上に仰向けになってる人がいて口を開けてるんだけど、 その患者さんにはもちろん緑の、口のとこだけ見えるシート被せてる、 そんなところがあって、その傍らに ちょっと天然入ったのか、ぽよんとしてるような感じが可愛い女の人がいて、 新米さんだと思うんだけど。 で、反対には中年の、40代半ばかな?、指導の人がいてた。 それで二人して開いた口を覗き込んでる。 担当者らしいその女の人は、帽子からエプロンから手袋まで緑のを、ぶわぶわと身にまとってんの。 指導の人はなぜか薄い色のを着てた。

それを見てたかったんだけど、自分の担当が急かす素振りが気になって、 すぐに行き過ぎました、残念ながら。

知らない患者さんの口が大きく開いたところへ、 やや緊張の面持ちで、ちょっと怖がってるお姉さんと、 一人なら事もなく短時間で済ましそうな雰囲気のおじさんが、 棒を突っ込んだり、指差したりして、やり取りしてる。 それも緑尽くしの中に映った、ぽっかりと開いた赤い粘膜のてらてらにだよ。 一瞬しか見なかったのに頭に焼きついたよ、あの場面は。ほんとに。

その前は一面窓で、中庭があって、綺麗に空が見えてた、曇ってたけど。 部屋の中は、戸棚とか収納の家具なんてほとんどなくて、 がらんとしてるせいか結構な広さのあるリノリュウムの床がやけに気になるぐらい。 いっぱい何か付いた装置があって、そこには椅子が埋まってて、 そういうのがずらっと見事に二列に並んでる。壁から離れて。 だから、あんまり端の方じゃなくて割と中のほうに転々と寝転がったみたいな患者達がいて、 育ちのよさそうな顔が、ちょっとだけすまして、 順々に口と道具何本もかけたホルダーと脱脂綿か何かを見るのに動いてて、 そうしてたら、すうっとこっちの近くを行き交ったりする。

そういうのが面白くなったもんだから、帰ってからトイレの鏡の前に行く度に、 自分の口を開けて、二針ほど縫ってもらった傷口を見てしまって、 それでまた思い出してんの、馬鹿なことに。

それは兎も角、あそこはやっぱり普通とちょっと違う気がする。 うん、そう。 いいね、好きだよあそこ。

湊屋楠左衛門孝和





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